骨格標本
標本が作りたい!~まずは死体の入手から~
2020年08月14日
「飼っていたボールパイソンが〇年前に亡くなって冷凍庫にあるのだけどいる?」と聞かれてYes!と答えた大学生の私。
学生時代から骨を制作しており、その趣味を知った知り合いから蛇(死体)を頂くことになった。
そんな昔の事を思い出しながら「蛇の骨格標本製作」についてまとめてみました。
「骨格標本の作り方」というには解像度の低い内容ですが、「蛇の骨格標本ってどうやって作るのかな~」と気になる方は読んでみて下さい~。
まずは蛇の骨について。
蛇の骨格はほぼ「背骨」でできています。
頭(頭骨)の後はずーっと背骨が続くのです。
イラストをご覧ください。
背骨は「椎骨」と呼ばれる骨が連なってできており、椎骨にはそれぞれ左右一組の肋骨が付いてます。
その肋骨の数はなんと約200対(動物の骨(*1参照)。
骨格標本を作るためには、この骨一本一本丁寧に徐肉していく必要があるということです。
ちなみに、胸骨はないので肋骨は腹側で結合することなく、離れたままになっています。
骨格標本をつくる上で、内臓の知識がなくても作れますが、あったほうがより生物への理解も深まりますよね。
ひょろ長い蛇の中身はやっぱり長細い内臓が格納されています。しかし、腸は蛇の食性を反映して比較的短くなってる模様。
また、細長い体に収まる様左右対である臓器は互い違いに収まっているのも面白いです。
頂いたのはボールパイソンの「ジャック」くん。
この子は今でも大切にもっています。
まずはメスを用いて剝皮。
内臓も取ります。
蛇には胸骨も肋軟骨もありません。
大きな獲物でも、つっかえることなく丸のみできる訳です。
よって、写真のように、腹の皮を切ると内臓が丸見え。
剥がした皮はこんな感じです。
とっても立派なので、いつか蛇革にも挑戦したいと思っています。
沸騰後15分ほど煮込みました。
今となっては、ばらけてしまうと大変な為、煮込まないほうが良いと思います。
ここからはひたすら同じ作業。
メス、ピンセット、解剖ばさみを用いて、図のように肋骨と肋骨の間の肉を取っていきます。
前述したとおり、蛇の肋骨は約200対(ピット・バイパーの場合)あり、これらの間一つ一つを丁寧にやっていきます。
この時、骨と骨をつなぐ靭帯は残しておかないと、あとでバラバラになってしまうため、単調作業ですが気が抜けません。
ポリデント等、入れ歯洗浄剤液に浸けます。
更に徐肉します。
上の写真ではまだまだ不十分ですが、全部肉を取り除いたら次の工程です。
アセトンを使い脱脂、オキシドールに入れて漂白します。
形を決めて乾燥させます。
肋骨等ばらけてしまった場合は接着剤でとめて完成です。
上の制作過程は、学生時代趣味で作ったものなので、至らない点が多いですが、制作の流れは基本今でも同じように作っています。
こちらはご依頼のコーンスネイク。
全身骨格では置く場所がないという方へは、アクセサリーにもしています。
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このブログの筆者
cocoro
"標本葬"として、亡くなったペットの骨制作を請け負う仕事をしています。(詳細はこちら)
骨を使った作品をEC/実店舗への委託販売/イベントへの出展等にて販売も。
たくさんのお蛇とヤモリ、亀、ハリネズミたちと暮らしてます。